化粧品や美容食品を選ぶとき、「どこで、どのようにつくられているのか」を気にする方は多いと思います。
肌や身体に直接取り入れるものだからこそ、成分だけではなく、その先にある製造工程や品質管理まで知ったうえで選びたい。
私は20年以上、化粧品や健康食品の商品開発に携わる中で、処方の華やかさだけではなく、毎日気持ちよく使い続けられる品質をどう守るかを大切にしてきました。
今回は、普段は表から見えにくい、日本のものづくりと「無添加処方」の裏側についてお話しします。
私が日本の製造現場にこだわる理由
「日本製だから、すべて優れている」
私は、そんな単純な考え方をしているわけではありません。
海外にも優れた原料や技術、製造工場はたくさんあります。
そのうえで、私自身が商品開発をする際に日本の製造現場を大切にしている理由は、細かな部分まで確認しながら、一つの商品を一緒につくり込んでいけることにあります。
化粧品は、処方を決めて工場で混ぜれば完成、というほど単純ではありません。
原料の規格を確認し、試作を繰り返し、使用感を調整する。
中身が時間の経過や温度変化などによってどのように変化するかを見る。
容器との相性を確認する。
そして実際の製造では、原料の受け入れから製造、充填、包装、保管まで、それぞれの工程で品質を管理していきます。
日本では化粧品の製造販売業者に品質管理が求められ、製造についても日本化粧品工業会がISO 22716を基礎とした化粧品GMPの自主基準を設けています。
製造は、中身をつくる工程だけでなく、包装・表示・保管まで含まれます。
私が長く開発現場にいて感じるのは、こうした仕組みだけでなく、現場で細かな違和感を見逃さず、ひとつずつ確認していく技術者の存在が品質を支えているということです。
派手には見えません。
でも、その積み重ねこそがものづくりの土台だと思っています。
「無添加」は、ただ成分を抜けばできるものではない
「無添加」「防腐剤フリー」という言葉には、クリーンでシンプルな印象があります。
Theodor Cosmeでも、できるだけ余分なものを使わない、引き算の考え方を大切にしています。
ただし、開発する側から見ると、
「入れない」という選択は、決して簡単ではありません。
特に分かりやすいのが、防腐設計です。
防腐剤を使わないなら、別の方法で品質を守る必要がある
水分を含む化粧品は、製造して終わりではありません。
工場を出て、倉庫で保管され、配送され、お客様の手元で毎日使われます。
その間も、中身の品質をできる限り安定した状態に保つ必要があります。
一般的な化粧品では、防腐剤を適切に使用することも、そのための重要な方法のひとつです。
日本では化粧品に使用できる防腐剤の種類や配合上限が定められており、防腐剤以外にも、防腐を補助する原料や容器の工夫など、複数の方法を組み合わせて製品を設計することがあります。
つまり、防腐剤を使用しない場合は、
原料そのものの品質や微生物管理、製造設備や作業環境の衛生管理、製造工程、処方そのもの、充填方法、そして外部から中身に触れにくい容器設計など、別の部分で品質を守るための精度を高めなければなりません。
日本化粧品工業会でも、化粧品の微生物品質についてISO 17516に基づく微生物限度値を自主基準として採用しています。
だから私は、「防腐剤が入っていないから安全」とは考えていません。
防腐剤を使うことにも理由がありますし、使わないことにも理由が必要です。
大切なのは、何を抜いたかではなく、その処方で最後まで品質を保つために、どのような設計をしているかです。
「引き算の処方」ほど、裏側の設計が重要になる
私は、自分が使う化粧品を考えるとき、成分数が多ければいいとは思っていません。
話題の美容成分を次々に入れるよりも、
「この商品は何のために使うものなのか」
「そのために本当に必要なものは何なのか」
を先に考えます。
必要な成分はきちんと使う。
必要以上のものは無理に足さない。
そして、引き算するのであれば、それによって失われる機能を処方や製造技術でどう補うのかまで考える。
これが、私の考える理由のある処方設計です。
無添加という言葉そのものに価値があるのではありません。
「なぜ入れないのか」「それでも品質をどう保つのか」まで含めて設計されて初めて、その選択に意味が生まれると思っています。
本当に守りたいのは、毎日の「基本の質」
商品開発をしていると、新しい原料や技術、トレンドに触れる機会はたくさんあります。
新しいものには新しいものの良さがありますし、研究や技術の進歩は積極的に取り入れていきたい。
ただ、20年以上この仕事を続けてきて、私が以前より強く考えるようになったのは、商品の価値は派手なキャッチコピーだけではつくれないということです。
今日使って、明日も普通に使える。
香りや使用感が心地よい。
最後まで品質が保たれている。
使うたびに細かな不安を感じなくていい。
こうしたことは、商品としては当たり前に見えるかもしれません。
でも、その「当たり前」を維持するために、処方開発、原料管理、製造、検査、容器、物流など、多くの人と工程が関わっています。
私が日本の製造現場で大切にしているのは、この当たり前を丁寧に積み重ねる文化です。
美容のために毎回構えて使うものではなく、歯を磨いたり、髪を洗ったりするのと同じように、自然に生活へ溶け込んでいく。
Theodor Cosmeでつくりたいのは、そんな商品です。
まとめ|確かな基本があるから、気負わずに続けられる
化粧品の品質は、パッケージからはなかなか見えません。
どんな原料を選んだのか。
どのような処方にしたのか。
製造現場でどう管理されているのか。
その中身をどう守る容器を選んだのか。
そして、なぜその設計にしたのか。
本当のものづくりは、表から見えない部分にたくさんあります。
私は20年以上商品開発をしてきたからこそ、華やかな言葉より、こうした基本を大切にしたいと思うようになりました。
完璧なものを追い求めるためではありません。
毎日の生活の中で、余計なことを心配せず、気持ちよく使い続けるためです。
美容は、人生そのものではありません。
仕事をしたり、好きなものを食べたり、身体を動かしたり、大切な人と過ごしたり、新しいことに挑戦したり。
そんな日々を自分らしく楽しむために、美容がある。
だからこそ、毎日使うものには、本質的なところできちんとこだわりたい。
派手ではなくても、理由のある処方と、丁寧なものづくりを。
BEAUTY FOR LIVING.
美容は人生を楽しむために。
それが、私が20年の商品開発を経て行き着いた、Theodor Cosmeのものづくりの基準です。










